包む

私の職場にもお歳暮が届く季節となりました。
美しく包まれた包装紙を逆の手順で解いてゆきながらその折り目ただしい包み方に感心してしまうのです。デパートなどで贈り物を選ぶときにもやはりそうで、店員さんが私の眼の前で何の迷いもなく包んでゆく仕草は見ていて清々しささえ感じます。
その一方で少し苦い思いもよみがえってくるのです。
以前、土産物屋でアルバイトをしていた時があります。その時に教わったのがキャラメル包みと完全包装という包み方です。ご自宅用は袋に詰めるだけでしたがご進物用と言われたときにはこの2種類のいずれかの包み方をします。私の包み方はどうも今ひとつ角がきっちりせず何とも気の抜けたものでした。さらにお客さんが見ていると思うとどうしても焦ってしまい、後ろめたさを感じつつ角が少し緩んだ様な包みを手渡ししていました。

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先日、立ち寄った輸入菓子のコーナーで可愛い缶欲しさにイギリスの伝統菓子、タフィー(キャラメル)を買ってしまいました。金色の包み紙でひとつずつ包まれ、両端を捻っています。
そういえば日本での元祖キャラメルといえば森永のミルクキャラメルなのかなと思いますが、包み方の名前にもなっている通りひとつひとつ折り目正しく包まれています。中学生の時によく食べていたハイソフトもきちんとキャラメル包みでした。包み紙は銀色に確か2本のストライプが入っていてキャラメルを口に放り込み、ゆっくりとその甘さを味わいながらそれで折り鶴を作ったりしていました。
贈る人への大切な思いをきちんと包むことが出来なかったほろ苦い思い出とともにこんな細かなところでもきちんと包んでしまうことの奥ゆかしさを感じてしまう師走なのでした。