東風吹かば

昨日、今日と良いお日柄で、エアコンを使わずに済んだ。

朝から窓を開けて春の気配のする暖かな風を送り込んでいる。こんな日は掃除洗濯が気持ちよくできる。

敷き布団と、寝具を洗って外に干す。それからキッチン周りを磨く。床を水拭きする。

フキンを煮沸消毒して、漂白する。棚を拭く。

一通り済ませてから少しだけ仰向けに寝る。

ここ数日、気候のせいか眠くて仕方がない。窓から入る風と天井に反射している光の加減で季節の気配がわかる。

まだまだ冬と春が拮抗して寒くなる日もあるかもしれないけれど春の日が待ち遠しい。

 

せっかくの暖かい日なのでお昼ついでに北野天満宮まで散歩をすることにした。

厚いダウンは着ずにカーディガンだけ羽織って出掛けられるのが嬉しい。

ちょうど梅が見頃だ。場所によっては満開だがまだ蕾もあり、もう少し先まで楽しめそう。 

北野天満宮まで来たら、立ち寄るお店が『老松』でこちらのお店の月餅『香果餅』が好きだ。

小倉餡にオレンジピールを混ぜ込んだ洋菓子のような和菓子。京都の土産菓子は贈ることの方が多く、案外食べたことがないものもあったりする。3年ほど前、京都駅でお土産を探していた時に初めてこのお菓子を知った。食べたことはなかったのだが個数がちょうど良かったのでこちらを選んでレジへ持って行ったところ、店員さんにも太鼓判を押されたお菓子だった。その時はお持たせとしていただけなかったので後日、自分用に買って食べてみたところ私のお気に入りになった。

一人分のお菓子を箱で買うことはなかなかない。けれども丁重な店員さんを前にしてお菓子を一つだけ買うのも心苦しいし、せっかくだから少しずつを何種類か買ってみて今度誰かに贈る時の為にも試食しておこうと今日は『香果餅』の他に『菅公梅』という麩焼煎餅と押菓子の『御所車』『北嵯峨』を一つずつ買った。墨絵で描かれた松の絵の袋に入れてもらい、暖簾をくぐって外に出る。上七軒の通りの五つ団子の提灯を眺めながら帰り道の足取りも軽やかだ。

 

東風吹かばにほひをこせよ 梅の花  主なしとて 春を忘るな

 

この界隈を歩くと思い出す歌である。