深呼吸の必要

かれこれ十数年前の話。ちょうど梅雨の頃だったと思う。DVDをレンタルをして『深呼吸の必要』という映画を観た。

細かい話は忘れたのだけれど何かしらの悩み事を抱えたそれぞれの登場人物が沖縄のサトウキビ隊に参加し、ひたすら刈る作業をしていくなかで自分自身と向き合い、そして現状から少しだけ進めそうな兆しを感じさせるような内容だったと思う。

雨が止んで雲の切れ間から光が差すような、あるいは開けた窓から涼しい風が入ってくるような観終わったあとに何がしかの印象を残してくれた良い映画の一つとして記憶に残っています。

この映画に影響を受けて、大学生の長い夏休みに信州のペンションへアルバイトに出かけたのも良い思い出です。

さて、私は普段の生活の中でちゃんと呼吸をしているのだろうか。最近は眠たかったり、頭がぼんやりしているのはもちろん寝不足であることも自覚はしているのだけれども、どうも呼吸が浅いのではないかと思った。

スマホ片手にだらだらと過ごすことが多いこと、注視している間の呼吸は浅くなっているだろうし、首をもたげている格好が続けば姿勢も悪くなり、浅くなった呼吸はさらに循環が悪くなるだろう。さらにマスク。肌と外気を隔てる薄い一枚であっても気温が上がってくると息苦しく感じる。

1日の内に何回か意識して深呼吸をしようと思う。

朝起きて、窓を開けて東山の連なりを遠くに眺めながら、散歩の途中、御所の雨に濡れた松の清々しい香りを、夜、眠りに就く前に明日のささやかな希望を願いながら。